「子どもって、急に “育てにくいな~” ってなるタイミングありませんか?」
皆さんは ”4歳の壁” という言葉をご存じでしょうか?
簡単にいうと、3歳半から4歳にかけて、今までできていたことがスムーズにいかなくなり、感情的にも不安定になる時期のことです。
この時期の子どもは、身体・言語・社会性が急激に発達するため、心と行動のバランスが一時的に崩れることがあるのです。
裏を返せば、正しい成長の過程を踏んでいると言えますが、親としては「急に扱いづらくなった」「子育ての仕方を間違えたのではないか?」など葛藤が生じてしまう事もあるでしょう。
今回は、もうすぐ5歳になる長女の場合を振り返りながら ”4歳の壁” の実際と、親としての関わり方などを考えてみたいと思います。
4歳の壁とは
心理学や育児支援の現場では、4歳ごろに子どもが「自立したい気持ち」と「まだ甘えたい気持ち」の間で揺れることがよく知られています。
急激な身心の成長と、情緒のバランスをとりながら、子どもが“自分”を確立しようとする時期の一時的な混乱とも言えるものです。
親の立場からすると「反抗的になった」「出来ていたことが、できなくなった」「感情が不安定」など心配になってしまう要素が多くなる時期でもあるのです。
よく見られる「4歳の壁」の具体例

このような時期の子どもに見られる行動には、以下のような特徴が挙げられます。
できていたことを急に「やって」と甘えてくる
たとえば、着替えや歯みがきなど、以前は自分でやっていたことを「ママがやって」「パパとじゃなきゃ嫌」と言い出す場面が増えます。
これは“自立したい気持ち”と“まだ甘えたい気持ち”がぶつかり合っているサインです。
親としては「自分でできる事に手を出してしまっては、この子の成長に悪い影響を与えるんじゃないか?」と考えて、突き放してしまう事もあるでしょう。
言葉が達者になる一方で、屁理屈や言い訳も増える
語彙力や論理的思考が伸びる時期でもあるため、「でも○○だったから」「だって○○だもん!」など、子どもなりの理屈で主張することが目立つようになります。
正論で抑え込むのではなく、子どもの主張をきちんと聞いて「一緒に考えよう」という姿勢が大切になってきます。
感情の起伏が激しくなる
ささいなことで怒ったり泣いたり、突然笑ったりと、感情のコントロールが不安定になります。
頭では理解していても、感情が追いつかないアンバランスな状態にあるのです。
こういったとき、子ども自身も「なぜこんなに気持ちが乱れるのか」分からずに戸惑っていることがあります。
我々はまず、感情に寄り添ってあげることが大切です。
大人や周囲を“コントロール”しようとする
「ママはそこに座って」「今は話しちゃダメ」など、家庭内で“自分ルール”を作りたがる様子も見られます。
これは、自己主張やコントロール欲求の現れとされます。
付き合ってあげられる余裕がある時ならば良いのですが、忙しい時など煩わしく思えてしまう事もあるでしょう。
「お兄ちゃん/お姉ちゃんらしさ」にこだわる一方ですぐ崩れる
年下の兄弟がいる場合は特に、「自分は上の子だ」という意識が芽生える反面、我慢や役割のプレッシャーをしいられ、不安定さが強まることもあります。
アイデンティティの確立に大切な準備段階ととらえ、必要な精神的サポートをこころがけましょう。
ケーススタディ 長女の場合(もうすぐ5歳)の振り返り

娘の様子を思い返してみると、確かに手こずることもあったけど、「壁」というより「進化」や「独特な自己主張」という印象でした。思い当たるふしをいくつか挙げてみたいと思います。
朝の支度が進化?
朝はかなりマイペース。
起きてすぐは「ぼーっ」としていて、しばらくすると「ぱぱぁ!クリームとってきて!」と何故か切れ気味…。
「はいはい」とクリームの入った支度ケースを持ってきてあげると、おもむろに自分でクリームを塗り始めます。
10分ほどたって、見た目動きが見えないので「そろそろ、着替えた方がいいんじゃ…」と声をかけると。
「今やってる!!!」 Σ( ̄□ ̄|||)
そして「パパに声かけられると、うまくやれなくなっちゃうんだよねぇ~」とのこと…。
この一連のルーティン、結局着替えが終わるのに30分なら早いほう。
でもこれは、「のんびりしている」ではなく、自分のリズムで1日の始まりを整えているようにも見えます。
以前よりずっと自分でできることが増えたし、ちゃんと “進化” しているってことでしょうか?
アサーションの担い手
ある日、夕食前に「お菓子を食べたい!」と駄々をこねただした娘。
僕が、「ご飯の前にお菓子なんか食べないでしょ!」というと…。
「じゃあ、アサーションだよね~」(※妻が「うちはアサーションできる家族になろうね!」と教育済み)
と言ってきたのです(笑)。
「私は今お菓子を食べたいとおもってるんだ、でもパパは、ご飯前はダメだっていうんだよね?」
「どーするー???」
感情をぶつけるのではなく、言葉で伝えようとする姿勢はまさに“アサーション”の基本。
本人なりに気持ちを整理しようとしてるんだなと感心しました。
当然、ご飯前にお菓子を与えられるわけもなく、交渉は決裂するのですが。
「私のお願いは叶わないのね!もーアサーションなんてなしでいいのね!!!」と感情を爆発させます。
放っておくとずっと喋っている
お風呂や食事がとにかく長い。
というのも、ずーっと喋ってるから。
「そーなんだぁ、でもそろそろ食べ始めて(お風呂に入って)30分だから…」と促さないと、いつまでたってもご飯が進まないし、体も洗えない(笑)
話をさえぎられた娘は明らかに不機嫌に…。
でもこれは、コミュニケーション欲求の高さの表れでもあるのかなと思っています。
ママを喜ばそうとお手伝い
時々「ママ~、今日は一緒におりょうりしたいよー!」とお手伝いになのりでます。
でも、そんなに時間を要さず…すぐ飽きる…。
そして「これ食べていい~?」と途中でつまみ食いを始め、それに反応した妹を巻き込んでキッチンは大混乱…。
逆に手間が増えることになり、結果妻の怒りを買ってしまいます。
「ママに喜んでほしい」「役に立ちたい」気持ちと、「遊んでいたい」「つまみ食いも楽しみ」という相反する感情をコントロールしようと頑張っているようです。
こうしたエピソードからも、自我の発達や社会性の芽生えが感じられました。
”4歳の壁” より手ごわい ”妹の壁”
もうすぐ2歳になる妹ちゃん。長女にとっては混乱と葛藤の根源かも知れません。
- かけている眼鏡を、突然ひったくられる
- 自分が遊んでいたおもちゃを「かしてぇ~」と強奪される
- ニコニコして近づいてきたかと思ったら、いきなりビンタ
- ママの隣で寝ようとしたら、無理やり間に割って入られる etc…
「優しいお姉ちゃん」としてのアイデンティティと、まだ自分も甘えたいのに「我慢しなくてはいけない」という葛藤を抱えて、なお気丈に頑張っている長女のすがた。
それでも、妹の寝顔を見て「かわいいね~」と言っている長女を見ていると、胸が熱くなってきます。
小さな胸で、確かに“お姉ちゃん”をやっているのだなあと実感します。
どんな風に対応すればよいのだろう?

子どもたちが「成長に伴う不安定さ」の中で過ごしている時、私たち親にできることは、子どもを完璧にコントロールすることではなく、内面で起きている「成長のプロセス」に寄り添い、見守ることです。
以下に、日常の中で実践できる関わり方を4つ紹介します。
寄り添い共感する
感情の起伏が激しい、屁理屈が増える、自分ルールを押し通そうとする…。そんなとき、つい「そんな言い方しないの!」「もう、わがまま言わないの」と否定したくなることもあるでしょう。
けれど、まずは「○○したかったんだね」「イヤだったんだね」と気持ちに寄り添う共感がとても大切です。
共感は、子どもが「自分の感情を否定されなかった」と感じることで、心を落ち着かせ、自分の感情を拠り所とする土台をつくります。それが「自分はこれでいいんだ」という将来の自己肯定感につながるのです。
感情表現の手助け
まだまだ自分の気持ちをうまく言葉にできないこの時期。だからこそ「気持ちの言語化」を親が手伝うことがとても効果的です。
たとえば、怒っているときに「怒ってるんだね。でも、叩くのはイヤだよ」などと伝えると、子どもは「これは“怒り”なんだ」と理解するようになります。
また、悲しみや不安といった感情を言葉にすることで、少し距離をおいてその感情と向き合うことが出来るようにもなるでしょう。
このプロセスをくり返すことで、子どもは徐々に「気持ちを行動で爆発させる」のではなく、「言葉で伝える」ことを学んでいきます。
甘えの欲求を満たす
おもちゃの片付けや着替え、朝の身支度など、今まで出来ていたことを「パパ、やって~!」とせがまれると「甘やかしたらこの子のためにならないんじゃないか?」と不安になります。
「もう4歳なんだから!」と言いたくなる場面もあるかもしれません。でも実は、「まだ4歳」なのです。
自立したい気持ちと、甘えたい気持ちがせめぎ合うこの時期は、“しっかり甘えられる” 経験が、逆に自立の土台をつくるとも言われます。
手がかかるなと思う時期ほど、できる範囲でスキンシップや抱っこ、「特別な時間」を意識的にとってみましょう。満たされることで、子どもの安心感が育ち、自信へとつながっていきます。
生活のリズムを整える
心の波が大きくなるこの時期こそ、生活リズムの安定は親が与えられる大きな安心材料になります。
朝起きる時間、食事やお風呂、就寝など、できるだけ一定のペースを保つことで、子どもは自分の内側の不安定さを“外側のリズム”で調整していくことができます。
また、朝の準備やお片付けなど「自分でやること」は、時間に余裕があるときに少しずつ練習させていくのがポイントです。「早くして!」と急かさなくて済む環境づくりも、親子の平和には欠かせません。
このような対応は、一朝一夕ではうまくいかないこともあります。でも、子どもと過ごす毎日の中で少しずつ取り入れていくことで、子ども自身の「心の安定力」が育っていきます。
うちの子は壁がこない?逆に大丈夫?
「4歳の壁」が成長に伴って起こる不安定さだとすると、「うちの子は当てはまらないんだけど…」と不安になる親御さんもいるかと思われます。
しかし、子どもにはその子なりの発達のペースがあり、一様に考えるべきではありません。
わが家の場合も “育てにくさ” よりも、どちらかというと ”いい子でいよう” としているように見え、逆に不安に思った時期もあります。
振り返ってみると「ちゃんと不安定」で少し安心しましたが…。
これから先、小学生や思春期に差しかかればまた違った「壁」は来るかもしれません。
それも含めて、成長のひとつのプロセスだと考えて良いのではないかと思います。
まとめ

4歳前後の時期「急に、育てにくくなったな」と不安になっても、それは子どもの成長に伴う正常な過程かもしれません。
僕たち、親にできる事は 見守り・寄り添い・必要なフォローを心掛ける事です。
コントロールするのではなく、子どもの ”今” を見守り続けましょう。
親として、完璧にできなくても自分を責めることはありません。子どもと一緒に成長していけばいいのではないでしょうか?
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