サピエンス全史 面白かったです
えっ!? 今頃? ( *´艸`)
って、言わないでください…ね。
人類の、その中でも ”ホモ・サピエンス” がほかの種を出し抜き
この地球を支配するに至った過程を論理立てて教えてくれます。
3ページに一度、目から何かが落ちました…
おそらく”鱗”だと思います。
この本は 2011年にイスラエルで最初に出版され
2016年に日本語版が発売されました。
著者はイスラエルの歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリです。
「認知革命」「農業革命」「科学革命」を経て
最初は弱々しかった我々の祖先がどうやって地球の支配するに至ったのか?
その歴史を紐解くことで現代に生きる我々の視野を広げてくれる一冊です。
虚構を信じる能力

我々の祖先 サピエンスが生きた時代
地球上には様々な人類種が暮らしていました。
同時代に生きた ”ネアンデルタール人” などは体力、脳の大きさなど
あらゆる面でサピエンスを凌駕していました。
頭の良さもですよ!
従来、信じられてきた
「サピエンスは他の人類種より優秀な脳をもっていたから生存競争に勝ち残った。」
という説は、今ではくつがえされています。
個々の能力でいえばネアンデルタール人の圧勝
まともに戦ったらきっとフルボッコです。
しかし、サピエンスにあって、ネアンデルタール人(他の人類種もちろん他の動物)に
なかった能力があり、そのおかげで生存競争に勝利する事ができました。
それが「虚構=フィクション」を信じる力
見てもいない事をもっともらしく語る能力
です。
実際に起こった事だけでなく
想像や妄想といった
「嘘のストーリー」
を語り共有する能力があったのでした。
「ライオンがいるぞー!」
だけではなく
「多分今日はライオン来るぞー!」
さらに
「隣の村にはライオンより強いやつがいるらしいぞー!しらんけどー!」
となり
「隣の国に、からだは人間 頭はライオンの神聖なるおかたがいて、
世界をくまなく統治していらっしゃるのだ!」
そして
「スゲェじゃん!そのお方につきしたがおう!!!」
と、なるわけです。
こうやって
実際に見ていないこと ”虚構” を共有する事で
サピエンスは他の種族より大きな集団を作ることができるようになったのです。
そして数の暴力で他の種族を凌駕してしまいました。
ストーリーの共有

サピエンスは様々な「ストーリー」の中で
社会を作り上げてきました
「農業革命」によってより生産が安定し
人口を増やす事ができたサピエンス
(人口は増えましたが個々の人びとの幸福は下がりました。
著者は農業革命を「史上最大の詐欺」と呼んでいます)
人びとはより大きな集団を作りました
それを団結させていたのが
「国家」や「宗教」
といった「ストーリー」です
誰もが「王様は偉い」「神様がこの世界を作った」と信じる事で
社会の秩序を守る事ができるのです
「お金」といったシステムにしても
「お金には価値がある!」
「お金を持っていれば欲しいものがかえる!」
と、誰もが信じているから成り立っています
もし突然
「今日から、今まで使っていたお金はただの紙切れになります云々」
といった法律が出来たら
今まで貯えてきた財産は無に帰し
世の中は大混乱になることでしょう。
こうやって多くの人が、同じ「ストーリー」を共有し
信じることで社会の秩序は成り立っているのです。
何故ヨーロッパなのか?

ところで
僕はまえまえから疑問に思っていることがあります。
それは
「何故 カソリックのがちがちの教義の上に成り立っていた
ヨーロッパの社会から、個々の人々の自由や人権を尊重する
現代の西欧諸国の価値観がうまれ世界をリードするに至ったのか?」
という事です
コロンブスのアメリカ大陸発見などによって
今までの宗教的価値観では世界を説明できない事がわかってきました
海の向こうの新大陸の先にはまだ知らない世界があるのです。
そこで人々はその先を知りたくなりました。
聖書を紐解いても手掛かりはつかめそうもないと悟った人々は
「科学革命」をおこします
ソクラテス以来「無知の知」を取り戻したのです
世界のありようをしるす道しるべは「宗教」から「科学」に変わりました。
「科学」は力です
戦争に勝ち食べ物を増やし病気を治す
こうやって科学を中心とした新しい価値観へとシフトして行くのです
この価値観は「産業革命」へとつながり「帝国主義」の片棒をかつぎます
そして科学への投資の有益性から「資本主義」のイデオロギーが産まれました。
では、何故その中心がヨーロッパだったのでしょう?
著者は次作の【ホモ・デウス】こう言及しています。
『「宗教」と「科学」は一般に、お互い ”真実” を追求するもの
として相容れないと思われているがそうではない
「宗教」は主に ”秩序” に興味があり、「科学」は主に ”力” を追い求める。
よって「宗教」と「科学」は相性が良い。』と
世俗主義と寛容の価値観と結びつけられることが多い「科学」が
『宗教的狂信者が世界で最も集中しており、寛容の水準が一番低かった』
ヨーロッパで芽吹いたのにはこの辺りに答えがあります。
そして著者はこう語ります
『「科学」によって我々は ”虚構” から抜け出し
真実を見る目を持ったのかというと違う』
『「人間至上主義」という新しい ”虚構” に乗り換えをおこなっただけなのだ』と…。
まとめ
我々の祖先の発展の歴史を辿る事で
著者は「幸福とはなんだろう?」という
哲学的な問いを投げかけてきます。
少々長いですが読んで絶対損はしません。
皆さん是非読んでみて下さいネ!
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