子育てをしていて、子どもが感情を爆発させた時、
僕たち親はどういった接し方をすれば良いのでしょうか?
先日、怒りを爆発させた3歳の下の娘ちゃんによる「ちゃぶ台返し」を喰らい、
送迎中の車内がチャーハンまみれになるという燦々たる状況を経験しました…。
今回はその経験をもとに
「子どもが感情を爆発させた時の親の接し方」
について考察していきたいと思います。
キーワードは「心理的安全性」
大切なのは、子どもの感情の流れを理解して、受け止めてあげること。
力でねじ伏せるような事をすると、子どもの情緒的成長に悪い影響を与えかねません。
とはいえ、なかなか冷静に対応するのも難しいですよね。
そこで前もって心構えを整えておくと、いざ子どもが感情を爆発させた時に少し余裕を持って対応できるでしょう。
子どもが安心して感情を表現できる「心理的安全性」の重要性

「心理的安全性」というと、一般的には職場などのコミュニティーで、
自分の考えや主張、犯したミスなどに対して、安心して共有できる状態を指します。
「他人の目を恐れず、誰もが素の自分(ありのままの意見や不完全さ)をさらけ出せる環境」のことです。
Googleの研究(Project Aristotle)でも、成果の高いチームに共通する最も重要な要素として、
「心理的安全性」は注目されています。
この「心理的安全性」が大切なのは、大人の世界に限ったことではなく、
子どもの成長や心を育てていく上で、とても重要な要素の一つです。
ここでは、「心理的安全性」がある、とは具体的にどういう状態なのか?
そして子どもにどんな影響を与えるのかを分かりやすく整理していきます。
家庭における「心理的安全性」とは
一般的な「心理的安全性」の定義を「家庭」さらには「子育て」に当てはめると、
「どんな感情を出しても、どんな失敗をしても、この家(親)は自分を絶対に見捨てない」
と子どもが確信できている状態ということになります。
- 感情の安全性:怒りなどのネガティブな感情を表現しても、自分はこの家族から見放されることはない。
- 行動の安全性:どんな失敗をしても、自分という存在が否定されることはなく、リカバリーを一緒になって考えてくれる。
そういった安心感、つまり「良い子でいるから愛される」という条件付きの愛ではなく、
「そのままのあなたで大丈夫」という無条件の受容によって「家庭」は子どもにとって、
社会に出ていく準備をするための「安全基地」としての役割を果たすことができます。
「心理的安全性」が子どもにもたらすメリット
「家庭」という安全基地がしっかり機能していると、
子どもには次のような大きな心の成長がもたらされます。
- 感情コントロールの基礎が身につく
感情を抑圧するのではなく、親に安全に受け止めてもらう体験を通じて、
「自分の感情とどう付き合うか」を学んでいきます。
- 失敗を恐れずに挑戦できる(折れない心)
「失敗=怒られる・見捨てられる」ではなく「失敗=次に活かす経験」と捉えられるようになり、
自己効力感や挑戦する勇気(自治の芽)が育ちます。
- 困ったときに親を頼れるようになる
保身のための嘘をつく必要がなくなるため、トラブルが起きたときも隠さず素直に親に相談できる
強い信頼関係が生まれます。
将来的に、自分という存在に自信を持ち、自分の感情に気づき、処理していく能力を発揮しやすい人間になります。
「心理的安全性」がないと想定されるデメリット
人間は「心理的安全性」が確保できない環境に置かれると、
自分の本当の考えや感情を隠そうとし始めます。
その結果、「チームのために貢献しよう」という前向きなマインドは消え去り、
「自分の身を守らなければ」という保身の心理が前面に出てくるのです。
そうなると、人間は誤魔化しや嘘、あるいは無関心(沈黙)といった防衛策を取るようになっていきます。
これは大人も子どもも全く同じです。
もし家庭内で心理的安全性が不足し、「恐怖」や「力(脅し)」で子どもをコントロールしようとすると、次のようなリスクが生じる可能性があります。
- 感情の爆発か、過度な抑圧(不適応)
- 行き場を失った感情が、親の見ていないところで暴走するか、逆に自分の気持ちを一切出せない「聞き分けが良すぎる子」になってしまうリスクがあります。
- 他人の顔色ばかりを気にするようになる
- 「自分がどうしたいか(自治)」ではなく「どうすれば怒られないか(保身)」が行動基準になり、主体性や自己肯定感が育ちにくくなります。
- 失敗や不都合なことを隠すようになる
- 怒られる恐怖から逃れるために、嘘をついたり、他人のせいにしたりして自分を守る癖がついてしまいます。
一時的には問題は解決したように見えるかもしれませんが、
将来的に子どもの社会適合に大きな影響を与えることになってしまいます。
さてここからは我が家の「ある朝の出来事」を取り上げて、
子どもが感情を爆発させた時の僕のとってしまった対応(良くなかった点を中心に)を検証してみたいと思います。
平穏なはずだった…ある朝の出来事

ではここからは、次女のちゃぶ台返しに至る経緯と、その際に僕が反射的にとってしまった言動についてお話ししていきたいと思います。
とある朝の出来事です。
少し寝過ごしてしまった僕は、思えば最初から少し焦っていたのかもしれません。
うつらうつらと食洗機の中身を棚にしまいながら、徐々に覚醒していく思考と共に
「意外と今日時間やばいかも」という現実が押し寄せてきます。
寝室で妻に保湿クリームを塗ったくられて、僕よりよっぽどうつらうつらした子どもたちがトボトボとリビングに入ってきた時には、すでにいつもより15分オーバーです。
昨日の夜なかなか寝付けずに睡眠不足な二人は、あきらかにご機嫌斜め…。
朝ごはんを食べながら軽い「姉妹喧嘩」
子どもたちの髪の毛を整えて、妻は僕たちより一足早く出勤します。
ここからは魅惑のワンオペタイム。
いつもより遅れて、朝ごはんの席についた二人が何やら揉め始めています。

妹「もう!しないでっていってる!」

姉「何もしてないよ!教えてあげただけだよ!」

妹「い〜の〜!い〜んだから!もうしないでって!」
どうやらスプーン持ちかたで、お姉ちゃんが妹にダメ出しをして揉めているようです。

姉「パパァ!この持ち方変だよね〜?」
姉の指摘が、少ししつこいかなと思った僕が、妹に助け舟を出すと、
あきらかにお姉ちゃんの方が不機嫌になりました。

姉「私が間違ってるってことなのね!もうわかった!」
しばらくごはんもボイコットして抗議してくる長女です。
いったんこじれた機嫌はなかなか治りません。
むむむ…ややこしいことになったぞ…
さて、そんなことをしていて時間がなくなってきたので、
朝食の続きは車の中でということになりました。
出かける間際、玄関での一幕
今度は、ようやく出発の準備が整った玄関にて。
上り框に腰掛けて、靴を履こうとしていた妹ちゃんが突然大声で泣き始めました。

妹「お姉ちゃんが手を踏んでいったぁ!わ〜ぁぁぁん!」
「あ、手を踏まれたのか。痛かったね」
すると、今度は長女が異議を申し立てます。

姉「私、踏んでないからね!」

妹「踏んだもん!痛かったんだから!」

姉「踏んでないよ!!!ねえ、パパ!下の娘ちゃん嘘ついてる!」

妹「ついてないも〜ん!踏まれたんだもん!」
実際のところはわかりかねますが、お互いの言い分が食い違う状況。
「誰も嘘ついてるとは思ってないよ」と諭しましたが…
これに反応したのがお姉ちゃん。

姉「じゃあ、私が嘘ついてるって思ってるってことね!」
せっかくなおっていた機嫌がまた逆戻りです…。
何やら、不穏な空気のまま物語は送迎の車内に続きます。
ボタンのかけ違いの総仕上げ、下の娘ちゃんのちゃぶ台返し!
上の娘が不貞腐れているので、
「パパは君が嘘行っているとも思ってないよ」
と伝えていましたが、
今度は隣でそのやりとりを聞いていた下の娘が突然猛烈に怒り始めました。

妹「パパ、私が嘘ついてるっていってる!」
”あちらを立てればこちらがたたず” のお手本、実体験です。
「違うよ!パパは下の娘ちゃんが嘘言ってるなんて少しも思ってないからね!」
となだめるも、いったんスイッチの入った3歳児に響く言葉はありません。

妹「うぎゃぁぁぁ〜、嘘言ったて言ったぁ〜」
仕方がないので、しばらく放置しようかと心を決めたその時、
その僕の想いを見透かすかのようについに下の娘ちゃんは実力行使にでました。

妹「うおりゃぁぁぁ〜!」
持っていた朝ごはんのお皿を助手席の背面に投げつけてしまいました。
パパご自慢のぱらぱらチャーハンが無惨にも弧を描いて空中を舞い落ちていきます。
ちゃぶ台返し完成!
彼女はやり遂げました(涙)
さすがに冷静でいられなくなった瞬間
最初は冷静に対処しようと思った僕でしたが、信号待ちで止まってチャーハンがそこかしこに散らばった車内を見て、語気が強くなっていく自分に気がつきました。

「あのさ〜、パパ〇〇ちゃんが嘘ついてるなんて一回も行ってないじゃんか!」
「なんでパパの言ってることも聞かないでこんなことするんだよ!」

「〇〇ちゃんに食べてもらおうと思って、せっかく作ったごはんこんなことされたら、もう〇〇ちゃんにはごはん作ってあげたくなくなるよ!」
「お皿だってひっくり返すくらいだったら、もういらないから窓から捨てちゃうからね!」」
気が付けば、怒りにまかせて2歳児相手に捲し立てている自分がいました。
これには、下の娘ちゃんも神妙になって
「ごめんね…」と悲しげに呟きました。
言い過ぎたな…
強い言葉でねじ伏せて「ごめんなさい」なんて言葉を言わせたい訳じゃない…
「いいよ、わかったよ、パパこそ怖い言い方してごめんね」
少し語気を落として
「〇〇ちゃん、怒ってるのパパに伝えてくれるのは良いことだけど、せっかく用意したご飯そんなことしたら、勿体無いしパパ凄く悲しい、だからちょっと言い過ぎちゃたよ」
そう伝えたものの、言った言葉は無かったことにはなりません…。
子どもが感情を爆発させた時の親の接し方、親が持つべき4つのこころ積もり

今回は結局僕も感情的に引きずられ、余計な言葉を口にしてしまう結果になりました。
最初に言った通り、僕も朝から少し焦り気味だったことと、姉妹の感情のバランスを取るのに苦戦して、気づかないうちにストレスを感じていたことも原因の一つです。
では、こんな時にどんな心積もりで対応していけば良いのでしょうか?
4つのポイントに分けて紹介していきます。
1、感情に巻き込まれない
子どもが感情的になり、怒りを爆発させる時、それを受けた親は本能的に自分への攻撃と捉えてしまうことがあります。
怒りの感情は基本的に相手に伝播しやすく、それは親子感であっても例外ではありません。
もしも、自分が感情の渦に巻き込まれそうになった時には、自分の中のひきずられた感情を意識して、呼吸を整えこう考えましょう。
「ああ、私は今感情に巻き込まれそうになっているんだな」と
客観的に自分を捉えることで、感情の波をやり過ごしやすくなります。
親が落ち着いて対応することで、高まった子どもの感情も徐々に落ち着きを取り戻すことができるでしょう。
とはいえ、親も人間。感情に飲み込まれて、言わなくても良い言葉、とらなくても良い行動にでてしまうこともあると思います。
そんな時は、なるべく早い段階でリカバリーするように心がければ良いのです。
子どもの感情の乱れは、親の領分ではありません。
子どもが自分で感情を整えられるように、大きな心で見守っていくことが大切です。
2、感情を受け止める
大きな感情の波に錨をおろしたら、子どもの感情に冷静に向き合います。
大切なのは、怒りにしろ悲しみにしろ、もちろん嬉しいと言ったポジティブな感情も含めて、
子どもの自然な感情をそのまま受け止めてあげることです。
特に小さな子どもにとって、親の存在は想像以上に大きいので、ここで受け入れられるか否かは今後の自己表現に少なからず影響を与えます。
自然な心の表現ができて初めて、その感情と自分以外の環境とのギャップに対処する方法を学んでいくことができます。
3、一貫性を持つ
親のその時のコンディションで言動が変わってしまっては、子どもは混乱し正しい感情の処理ができなくなります。
親は自分の感情を理解しながらも、もう一方で常に一貫性を意識する必要があります。
また、子どもの感情を受け入れるといっても、全てを許すという意味ではありません。
間違ったことは「ダメ!」と伝えていくのも親の大切な役割です。
親が明確な基準を持ってブレなければ、子どもは比較的判断に困らずに感情に対処しやすくなります。
4、Iメッセージで伝える
子どもに対しても自分の考えを伝える場合には、主語を「私」にして表現する ”I メッセージ” で伝えましょう。
「なんで〇〇ちゃんは、ご飯を大切にできないの!?もう作ってあげないよ!」
ではなく
「パパ、〇〇ちゃんに食べてもらいたくって作ったご飯がダメになっちゃって、悲しいんだ」
といったように、相手の行動を否定し、好ましくない状況を相手の人格のせいにしてしまうような ”you メッセージ” ではなく、
その状況に対して、親である ”私” が何を感じ、子どもにどうしてもらいたいと思っているのかという ”I メッセージ” で伝えるようにしましょう。
大人の間でのコミュニケーションでもよく言われることですが、いわゆる「アサーティブ」なコミュニケーションですね。
アサーションに関しては過去記事で紹介していますので詳しくはこちら
まとめ
子どもが安心して感情を表に出せる「心理的安全性」の確保された環境は、
子どもの心の成長にとってとても大切な要素の一つです。
そのためには、普段から親が子どもの感情を適切に感じ取って、受け入れてあげることが理想です。
子どもの感情に流されず、どんな主張でも一度受け止める気持ちが大切です。
しかし、親だって人間…。つい、感情の波に引きずられてしまうこともあるでしょう。
そんな時に、自己嫌悪になると碌なことになりませんので
(さらにいうと、何の役にも立ちませんので)
いらん事を言ってしまった時には、なるべく早くリカバリーしましょう。
自分の言葉で、自分の気持ちを伝えてあげれば良いのです。
親も子も、未完成のまま心を通わせていくもの。
ぶつかりながら、一緒に成長していく時間こそが、
親にとっても子どもにとっても、かけがえのない絆を育んでゆくのだと思います。


コメント